◆ クリエーター とうそん
とうそん
・マジックを始められたきっかけは?
 正確には覚えていないのですが、小学生の頃におそらくTVでマジック番組を観たことで興味を持って、本屋で子供向けの手品の本を何冊か親に買ってもらったのがきっかけだったと思います。本には、子供向けながら専門的な手品の解説が載っていて、専門道具であるシルクやシンブルなどは『マジックショップで購入してください』と書かれていたのですが、今のようにネットは普及してなくてショップ情報を知る手段が無かったので、結局、親からシルク代わりにハンカチを借りたり、シンブルは厚紙を指に巻いたもので代用したりして練習した記憶があります(笑)
ある時、祖母と一緒に天王寺の近鉄百貨店に行くと、実演販売のマジックショップがあることに気付いて、売り場に居た人にお願いして色々と商品の実演を見せて貰ったんですが、その人が岸本道明さんでした。
 この頃は、テンヨー製品を買うのが殆どでしたね。マニアックな道具やトリックは小学生の自分には知識不足で解説が理解できないということもありましたが、まだ手が小さくて、練習することが物理的にできなかったんで(笑)
高校生の頃に、梅田の阪急百貨店にも行くようになって、当時、梅田のテンヨー売り場担当だった清水一正さんにも色々と実演で見せて頂いたりしてたんですが、ある時、ターベルコース(1巻)を薦めてもらいまして、これを購入して読み込んでから余計にマジックの魅力にハマりました。並行してラリージェニングス氏の「カードマジック入門」(新版)も購入してカードマジックの魅力にどっぷりハマりましたね。当時アンビシャスカードのタネを知らなくて、この本で初めてタネを知った時にあまりに単純だったので、これは絶対初心者向けに単純化したものだと思ってたんですが、後々、本当のタネだと知って衝撃を受けました(笑)

・創作されるようになったのはいつ頃ですか?
 初めてマジックの改案を考えたのが、大学3年の頃です。当時は、岸本道明さんのショップで実演販売のアルバイトをしてまして、解説書通りに演じるのが販売員の使命のように 思ってたんですが、ある時、とある商品の演じ方でどうしても自分の演出力では上手く演じられないという
ことに悩んで、初めて自分で改良しようと思い立ったのがそれです。
ちなみにその改案が後の「ロジカルデック」、さらに「ステルスデック」へと発展していくことになるんですが、その過程でRRMCに参加することになって、半ば強制的に創作環境を与えられたことで 継続的にマジックの創作・改案をするようになりました(笑)
初めて改案を考えたのが12年前、継続的に考えるようになったのが7年前からです。(2018年現在)

・自分なりの創作法はありますか?
私の創作の流れは「こんな感じの現象を起こしたい」⇒「それならばこんなギミックが必要だ」⇒「じゃあ創ってみよう」という単純なものです。 現象の実現に向けて試行錯誤している時間がワクワクして一番好きなんですが、大抵の場合は、結局、上手く創れないんですよね(笑)
でも実はそれで良くて、上手く創れなかったら、創れた範囲で起こせる現象を新たに考えることで、自分でも思ってもみなかった作品が生まれるんですよ。 しかも意外と、結構そんな作品の方が、目新しくて面白かったりするんですよね(笑) 「ロジカルデック」も、本当は、観客が抜き出した1枚のカードを当てたかったんです。でも上手く創れなかった。なので、 デックの中に入ったままカードを当てるという現象に変えてみたら、同様のマーキングの中では圧倒的なスピードで読み取れるマークドデックとして、特徴が際立ったんですよね。
変な言い方ですが《自分の思いに執着しない創作》が創作のコツかなと自分では思っています。

・クリエ―ターとしての夢や目標は?
私が創ったマジックを演じた人、観た人、みんなが楽しんで喜べるマジックが創りたいですね。 マジックって演者と観客の関係が一番目立ちますけど、同じマジックを観た観客同士の関係も忘れてはいけないと思ってます。 観たマジックを話題にしたり、それを接点にして繋がりを持ったり、マジックのそういう側面もすごく大事なんじゃないかなと個人的には思ってます。
もう少し掘り下げると、観客だった人も演者になれるんですよね。それで、じゃあ観客が演者になろうとした時に何を求めるのか? と考えた時に、それはまた観客との繋がりなのかなと思ったので、初心者でも簡単に演じられる「バースデーサプライズ」を創った経緯があります。
私のマジックを観たり演じたりして1人でも多くの人にマジックの楽しさにハマってもらえるように、 これからも自分らしくて面白いマジックを創っていけたらいいなと思います。


とうそん
大阪府 大阪市生まれ
I.B.M.大阪リング所属
マジック雑誌等へのオリジナル作品掲載
「マリックチャンネル #34」ゲスト出演
マジックバーイベント等への出演など