◆ クリエーター 赤松 洋一
赤松 洋一
・マジックを始められたきっかけは?
 小学校の時に露店で見たマジックがきっかけやな。昔は学校の前とかお祭りの露店でマジックをやっとったんや。だから今より当時の方が目の前でマジックを見る機会は多かったかもしれんな〜。
 そこで紙製のシンブルとかコインの瞬間移動とか見せてもろてな。そこではネタやなくてそれを解説した本を売っとったんや。1冊50〜80円くらいやったかな〜。そこに載ってた 「金銭空中飛行術」を読んだら、密かに親指と人差し指の間にコインをはさんで隠すとか書いとったんやけど、見せてもろたんがものすごい不思議やったからこれは嘘やと思ったんや(笑)
 シンブルは書いてる通り練習して出来るようになったんやけど、そこでシンブルの隠し方とコインの隠し方が同じやと気付いてコインも練習したんや。それで中学1年生くらいの時には友達に見せたりしたな。
 それから本屋に行ったらマジックの本を探すようになってな。あるとき本屋で奇術研究を見つけた時は衝撃やった。第8号の舞台奇術特集や、今でも覚えてるわ。それから小遣い貯めてバックナンバーを取り寄せたりしたんや。新しいのが出るのが楽しみでな〜、隅から隅まで読んだわ。

 大学生になってから本格的にはまったな〜。大学は関西大学に行ったんやけど、出来て3年目のマジッククラブがあってそこに入ったんや。 それと大学2年生の時に、心斎橋に「誓得寺」ってお寺があって、そこでマジックの集まりがあるというのでそこにも行くようになったんや。当時はお寺が今で言う貸し会議室みたいなもんやったんや。その集まりの若い 人達が中心になって大阪奇術愛好会をつくったんや。でその大阪奇術愛好会では次回までにこんな現象をどうやってやるか考えてこようみたいな課題が出されたんや。それから自分でいろいろ考えるようになったな〜。

・マジックの素材に対するこだわりは?
 昔はコインボックスが好きやったからようやっとったんやけど、コインボックスって一般の人間からしたらごっつい怪しいんや〜。お客さんに「それなにするもんや?」って聞かれたら「マジックの道具です」って答えるしかないやん(笑)
 クロースアップの面白さって綺麗な劇場で見るっていうより、日常の感じで目の前で見せるこの感じやと思うねん。自分の原点が露店やから(笑) だからあんまり怪しげなもんは使いたくないな〜。だから今はサイコロとかジャムの瓶 とか普通のものでやるのが多いな〜。マジック用の怪しげなボールとかよりサイコロの方が一般の人も見慣れているからな〜。



・マジックは本で覚えるのとビデオで覚えるのとではどちらが良いですか?
 良し悪しやな〜。本で覚えるとすかたん覚えるねん(笑) 文字だけやったらわからん部分があるやろ? その部分を自分でこうじゃないかって補ってやって、いざ本人の演技を見たら全然違ったなんてよーあった。昔は外国から洋書を取り寄せて読んでる人が最新のマジックを見せてくれたんやけど、それが間違っててそのまま広まったのもあったんや(笑) 演技だけ映像で見て、解説は本で読むのが一番良いんとちゃうかな。本やったら自分のペースで読めるけど、ビデオやったら一瞬ぼーっとしてたらいちいち巻き戻しせなあかんしな。
 ビデオと言えば技法とかはわかるけど演技はよーわからんなー。テレビとか見てると手元をアップで映しよるやろ? そうなったらミスデレクションもきかへんしマジシャンの表情もわからへん。実際の演技でも最近のクロースアップは大きな舞台でやって、手元はスクリーンで映したりする やろ。 クロースアップの本当におもろいのはやっぱり実際に目の前で見るのが一番やと思うんやけど、見る人数のことを考えたら難しいかな〜。

・今後のマジック活動は?
 ん〜、、続けられる限りは続けたいな〜。定年で会社を辞めた時はマジックが楽しくてな〜。なんでもっと早く辞めへんかったんやと思ったくらいや(笑)  歳をとると手の状態とか変わってくるわ。 乾燥対策とかは、滑り止めを塗ったり皆いろいろ考えてるけど、トシとともに手の甲の血管 が浮き出たり、シワが多くなるのは隠せんからな。シワを利用してコインを消す「シニア バニッシュ」というのを考えた。シニアにならんとできないバニッシュや(笑)  いろんな素材を見るのは楽しいな。だから東急ハンズとか行くと楽しいんや〜。思いついたアイデアはメモしてるんやけど、まだ形になってないもんが多いな〜。ただ同じ事考えている人はいるかもしれんけどな(笑) 試行錯誤してアイデアを形にするスピードがトシとともに落ちてくるのは感じるなあ。まあ、もうそんなに長くはないと思うけど、できるだけやりますわ。

赤松洋一
大阪府 堺市生まれ
大阪奇術愛好会、IBM大阪リング所属
マジック雑誌等にオリジナル作品を多数掲載

受賞歴
第4回 石田天海賞
日本奇術協会 功労賞